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栗好き

おなかいっぱい食べたい。

バツイチ

我が家では、わたしが朝早く出勤し、夫は夕方出勤するので朝ごはんは各々が準備している。

 

今朝、夫にベーコンエッグを作ってあげたら「豪華!」と喜ばれた。


ただ焼いただけだよと伝えると「俺にとって火の通った食事はみんな豪華なんだ」と原始人みたいなことを言っていた。

 

 


先日、1人の男性社員が退職した。
57才、バツイチ。

 

彼は他の社員とほとんどコミュニケーションをとらない。

朝礼にも出なければ社員食堂にも顔を出さない。

 

見た目は大人しそうな中年男性なのだが勝手に会社のお金でiPhoneを買ったり、自分専用の仕事部屋を作らせて誰も入れないようカードキーで閉じこもったりとおそらく頭の中に「雇われ」という言葉がない人間だ。

 

そんな彼が辞めるとの一報を聞き、「ついにか」と思った。
自主退職ではなく、もちろんクビだ。
他の職員たちは大喜びしていた。

 

彼はほとんどの職員に心を閉ざしていたがなぜかわたしには割と心を開いていた。


以前、「何か仕事で必要なものがあったら俺に言ってね」と言われたことがあるがあれは恐らく何かリクエストすれば会社の金で買ってくれるつもりだったんだろう。

 

わたしは総務の仕事をしているので彼の退職処理をしなければならない。


いくらわたしには比較的心を開いていてくれているとはいえ、S級のコミュ障な彼なのでやりとりはすべてメールだった。

 

人間嫌いな彼が、他の人間に「おまえ、不要」と書かれた紙を渡される。

 

彼はさらに人間が嫌いになっただろうなと思い、最後ぐらいは嫌な思いをしないように丁寧に対応してあげようと思った。

 

 

彼とやりとりをしていると、前の飼い主に虐待されて人間になかなか心を開かなかったかつての飼い犬、太郎を思い出した。

 


彼からメールがくるたびわたしは丁寧に返信した。
わたしにもわからないことを聞かれたら即ググったし、それでもわからないことは知恵袋で質問したりもした。

 

それが功を奏してか彼はすごく感謝してくれた。
わたしはナウシカのように「ほら、怖くない。怯えていただけなんだよね」と心の中で呟いた。

 


かつての飼い犬、太郎も初めは誰にも懐かなかったが次第にみんなになついていき、最期は母に撫でられながら死んでいった。

 

彼も次の職場では牙を剥かずに嫌なことがあってもなんとか人と向き合っていってほしいし、できればiPhoneは自分のお金で買ってほしいとわたしは願っている。