帰省2
早朝の町は白く薄いものが漂っていた。意味はわからないがそんな感じがした。
出発にむけ、部屋で準備をしていると靴下が片方ないことに気づく。
部屋中を探したけど見つからない。
床に頭を擦り付け、どこかに落ちてないか部屋中を見渡す。
するとベッドの下からかすかに見えた赤い布。
恐る恐る隙間に手を入れ、引っ張り出すと靴下と一緒にライオンの指人形も出てきた。
いつからあの暗く狭い隙間にいたんだろう。
少し不憫に思い、ライオンを日が射す化粧台の前に腰掛けさせてあげ、私たちは部屋を出た。
小倉城もみっけ。
もひとつみっけ。
そんな感じで時間も忘れてはしゃいでいたら待ち合わせ時間に遅刻してしまいそうになりダッシュで駅に向かう。
息を切らせ、私たちが駅に着くとちょうど母も今到着したとの連絡あり。
コンビニ前で待機。
『あ、お母さーん!』
4ヶ月ぶりに会う母は当たり前だが何も変わってなかった。
母は帰りに唐揚げを30個、たこ焼きを5パック買い、夫を驚かせた。
うちの母はいつもそうだ。
お客さんが来る時、必要以上に食料を買い込む。
母曰く、祖父の影響らしい。
母曰く、祖父の影響らしい。
いわゆるおもてなしっていうやつだ。
実家の玄関は既にお正月だった。
居間にて父、祖母、弟と軽く話をし、私たち夫婦は疲れと満腹からすぐに爆睡した。
夜は母が作った手巻き寿司をみんなで食べた。
ネギトロ、えび、蟹、マグロ。
どれも美味しく、どれも大盛りだった。
母から借りた石鹸。
生姜のいい匂いがして使い心地最高だった。
でも1800円…。
夜は母の提案でイルミネーションを見に行った。
あまり期待せずに行ったが結構すごかった。
全力電力だった。
名物らしい『1億円トイレ』にも行ってきた。
手を洗う時お湯が出てきてちょっとびっくりした。
税金1億円をトイレにつぎ込む町。
なかなかロックだなと思った。